Date: 2011年03月21日

契機

 それは東日本巨大地震からちょうど1週間が経った3月18日のことだ。若い頃から左翼活動に身を投じ、今は小さな労働組合で活動している知人から、私の携帯電話にメールが届いた。彼は憤っていた。16日に東京で開かれた記者会見での、日本経団連・米倉会長の発言が許せないのだという。その発言は今もなお切迫した事態の続いている福島第1原発の事故に対してのものだ。

「千年に一度の津波に耐えているのは素晴らしいこと。原子力行政はもっと胸を張るべきだ」
「事故は徐々に収束の方向に向かっている」
「原子力行政が曲がり角に来ているとは思っていない」

 会長のこの発言が許せない彼は、私に誘ってきた。3月20日に東京で集会とデモが行われる予定だから、それに参加して怒りを叩きつけ、「すべての原発をただちに停止せよ!」と訴えようと。
 しかし私はその誘いを断った。この状況下での集会とデモは、あまりにもタイミングが悪すぎると感じたからだ。余震はしつこく続き、首都圏では計画停電が実施され、コンビニからは食料が無くなり、多くの工場が操業停止し、福島県では深刻な原発事故が進行中だ。人々のストレスはたまりにたまり、政府当局も国家規模の緊急事態への対応で神経を相当にすり減らしているはずだ。おまけに左翼活動の古参が数多く参加するデモは、過激派のデモとして警察からマークされているときている。その警察もこの非常事態で仕事の量が増え、警察官もこれまでにない緊張を強いられているはずだ。
 つまり不穏な空気の中、人々の冷静な判断力や自制心が失われ、軽はずみな言動や小さな小競り合いが過剰な暴力行為を招きよせる危険性が高まっているのだ。小さな混乱が大きな混乱へと拡大する危険が大きいのだ。
 私は考えた。経団連会長のかの発言に対し、自分はどのような行動を取るべきなのだろうかと。それもこの状況下では、行動によって起こる混乱を最小限に抑えなければならない。
 ともかくも私は考えに考えた。というよりも、脳が勝手に動いて考えるのをやめてくれず、眠ろうとしても眠れない状態に陥っていた、と言った方が正しいだろう。18日にはおよそ1時間半くらいしか眠った覚えがない。そのまま私は夜の仕事に赴いたのだが、何故かその日の仕事はいつもの重労働と違い、体への負担の少ない軽作業だったのでとても助かった。
 ともあれ考え続けたお陰で、私はこれから取るべき行動の枠組みを描くことが出来た。それがどのようなものか、これから説明していこう。

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Posted by 岩崎綾之 at 13:58│Comments(0)この作戦について

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