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Posted by つくばちゃんねるブログ at

Date: 2011年03月27日

今からやるべきこと~茨城県知事の大臣訪問に対して

 例えて言うなら、今の危機的状況はこういうことだ。
 これまで順調に飛行を続けていた旅客機の、右の翼にあるエンジンがいきなり爆発した。
 幸い左の翼のエンジンは無事で、旅客機は残ったエンジンの力だけで何とか飛び続けている。それでも高度はどんどん下がっていく。
 旅客機の機長は、このままエンジンを全開にして最大限の力を振り絞り続ければ、旅客機は元通りの順調な飛行に戻れるものと信じている。機内には「必ずうまくいくから安心してください」という機長の声が、機内放送で流れている。
 乗客は墜落の恐怖に怯えながらも、幸運の力が自分たちを助けてくれるものと信じて、機長の言葉に疑問の声を上げる者はいない。
 しかし実際にはエンジンの爆発で燃料タンクが傷つき、燃料が漏れ出していた。このまま飛行を続ければ旅客機は燃料切れで墜落するか、エンジンの炎が漏れ出した燃料に引火して空中爆発する。
 ふと窓から外を見た乗客の1人が、窓ガラスに飛び散る燃料のしぶきに気がついた。

 あなたがその乗客だったらどうする?
 操縦室へと急ぎ、機長に異常事態を告げるか?
 それとも大声を出して騒ぎ立てるか?
 それとも目を閉じ耳を塞いで、見ぬふりをするか?
 あるいは全てを諦めて遺書を書き始めるか?
 何が正しい判断かは冷静に考えれば分かるはずだ。

 今は飛行を続けるべき時ではなく、早急に安全な着陸場所を見つけて着陸すべき時だ。
 爆発の影響で旅客機の車輪は故障しているかもしれない。車輪が下りなければ着陸はハードな胴体着陸になる。
 それでも墜落や空中爆発とくらべたら、よっぽどましだ。
 次にやって来る危機に備えよ。準備は早ければ早いほどいい。

 3月26日の読売新聞 茨城版によれば、茨城県知事 橋本氏が細川厚生労働相、鹿野農相、大畠国土交通相の3人の大臣を都内に相次いで訪ね、緊急要望書を手渡した。
 知事の緊急要望は次の通りだ。
 細川厚生労働相に対しては、放射能汚染で出荷を規制された野菜に対する規制を緩和し、安全宣言を出して、風評被害の防止に努めることを。そして医療・福祉施設復旧への財政支援と、高齢者・障害者に対する支援を。
 鹿野農相に対しては、出荷制限を受けている農家への補償や資金援助、そして速やかな出荷制限の解除を。また農地や農業施設の被害に対する早急な復旧措置を。
 大畠国土交通相に対しては、震災で被害を受けた県内の空港、港、鉄道の早期復旧を。

 知事が多忙なことを私は理解している。そして災害からの復旧に全力を傾けていることも私は理解している。
 しかし知事の行動にもどかしい思いを抱いていることも事実だ。
 未曾有の震災と原発事故に襲われ、これまでのやり方では解決困難な事態を迎えているというのに、知事は日本経済がまだ順調に動いていた時のやり方で動いている。政府関係者に頭を下げて窮状を訴え、政府の支援を待ち続けている。しかしこのやり方では時間がかかる。その間にも被害はますます広がっていく。
 基本的に私は知事の要望に賛成だ。しかし知事の要望には重大な点が抜け落ちているとも思う。
 私が知事の立場だったら3人の大臣にどのような要望を出すか?
 考えた末に、私は以下の要望を付け加えるべきだと判断した。

 細川厚生労働相に対しては、茨城県内での放射線測定の体制を強化し、茨城県のどの市町村で放射性物質が検出されたかという『点の情報』のみを発表するのではなく、茨城県全域で放射性物質の検出量が各地域ごとにどのような値になっているかを示す『面の情報』を提供することを。
 『面の情報』があれば放射性物質の分布状況が分かる。放射性物質は海岸沿いに増えているのか、河川沿いに増えているのか、それとも道路沿いに増えているのか、あるいは風に乗るようにして平野部一面に広がっているのか? それによって放射性物質の移動経路を推定することができ、将来の汚染を予測してその対策を講じるのに役立つからだ。

 鹿野農相に対しては茨城県全体で一律の出荷停止を行うのではなく、全県レベル、県央・県南・県西・鹿行県の4つの行政区域レベル、さらには県内の各市町レベルというように、段階分けした出荷停止の体制を整えることを。そして県外への出荷は停止するが、県内での出荷は認める、さらには特定の市町村内に限って出荷を認め、あるいは出荷を停止するというように、県内各地域の汚染状況に即した出荷停止が行える体制を整えることを。
 県外の遠隔地に住む人間が、茨城県内の状況を短時間のうちに正しくとらえることは難しい。もしも汚染された農産物が県外で見つかれば、「茨城の農産物は危ない」という風評被害が広がる危険が高い。だから県外への出荷は慎重であらねばならない。
 しかし地元の茨城に住む人間は、より詳しく県内の状況を知ることが出来る。それが自分の住む市町村ならば自分から農家へ出かけ、農産物の栽培状況をチェックしたり、農家の人間が信用に足る人間かどうかを判断することも出来る。食べても安全な農産物かどうかを自己責任で判断できる可能性は高くなる。レベルに応じた出荷停止が行われるようにならば、無駄に廃棄される農産物も少なくなり、農家への経済的損失も軽くなるはずだ。

 大畠国土交通相に対しては、近い将来に行われるであろう福島第1原発事故の復旧作業に向けての要望を出す。この復旧作業では放射能に汚染された廃材や瓦礫や土壌などが大量に発生し、その処分が行われるだろうから、それら汚染廃棄物が廃棄場以外の場所に不法投棄されないかを監視する、チェック体制作りを早急に行うことを求める。
 以前より茨城県は業者の不法投棄に悩まされ続けてきた。広大な土地が広がる人家の少ない筑波山の周辺部などは特にそうだ。もしも放射能汚染された廃棄物が茨城県内に大量に不法投棄されたら、それは深刻な農産物の汚染と風評被害をもたらす。そのような不法投棄は断じて行われてはならない。放射能汚染された廃棄物の不法投棄は、通常の不法投棄以上の厳罰を下すという、法整備も必要となるだろう。

 以上3つが、知事からの要望に付け加えるべきだと私が考えるものだ。私はこれら3つの要望を茨城県知事そして政府関係者に伝えるべく、行動を起こす。

Posted by 岩崎綾之 at 11:07Comments(0)茨城ホウレン草問題